昨夜は寝る直前に熱い温泉に浸かったせいか、
不眠がちの私にしてはすぐに熟睡したようだ。
まだ外も部屋も暗い中、目覚めて目を開けると、
早くもリーダーはもうシュラフの後始末をしていた。
さて、今日は山頂に向かうのだろうか、彼女の判断はどうだろう。
天気を見て行くか戻るか決める。
ごそごそと起き出した仲間たちに、リーダーはこう言った。
みんなの荷物を自分が背負うから、
インナー(リュックの中にある濡れ防止の袋)に荷物をまとめるようにと言った。
まとめた荷物は小屋に預かってもらいピストンする案だった。
できればループ状に別ルートで下山したいけれど、
それでは荷物が重すぎるて私などは音を上げるに決まっている。
最良の策が空身(サブザックに必要なものだけ入れる)での登山だった。
ポッカのできるリーダーだけが私のリュックに荷物を入れた。
いつも判断はリーダーに任せているが、
彼女はいつもいちばん体力のない仲間に合わせる。
すると、ひとりが「私は行かない。小屋で待つ」と言った。
足の遅い彼女の申し出は行動時間を半分に短縮できる。
だから、自分で申し出たのだった。
そんなわけで私たちは空身でスタートし、
往復3時間ほどで小屋で待つ仲間のもとへ帰ることができた。
おかげで透き通るような青い空と真っ白な雪の山々、
エビの尻尾にびっしりと化粧された、
岩や木々などの非日常の秀麗な銀世界を堪能することができた。