ちょっとした記念日もあったため、
今日のランチはフランス料理店に行ってきた。
そこは初めて行く店で少し不安もあったけれど、
お昼の予約はいっぱいだった。
ということは、良い店なのかもしれないと思ったのだった。
遅めの時間に予約して店からの連絡を待ち、家を出た。
ナビに電話番号を入れて探すと、
20分ほどでたどり着いた店は複雑に入り込んだ裏町にあった。
外観は古い小さな民家で、とてもフレンチの店には見えない。
居酒屋のような感じもする。
でも、駐車場は満杯に近かった。
リピーターだろうか。
もとは蕎麦屋だったらしく構えは江戸時代の建物のように古かった。
通されたテーブル席には隣卓に若者が6人ほど歓談していて、
マスクはしていたけれど、密が少し不安になるほど狭くて近かった。
通路の壁の仕切りは格子戸で和風感が溢れている。
でも、至る所の壁に私の好きな絵画が額に入れて飾ってあり、
印刷物であってもそれがとても懐かしく感じられ嬉しかった。
中でもウィーン世紀末美術のエゴン・シーレの絵は、
小さいけれど何かひどく際立っていた。
ベルヴェデーレ宮殿に飾られた彼の絵を見た時には、
全く魅力を覚えなかったのに今日は妙に心打たれたのだった。
シーレは1918年、身重の妻とともに28歳の若さで他界した。
スペイン風邪だったということである。
あの時は日本でも40万人も亡くなったのだった。
さて、そんなことを考えているうちに、
ポタージュスープが運ばれ、前菜らしからぬ大きなパテの皿が来た。
それでお腹はいっぱいだ。
私が選んだメインディッシュは魚の真鯛で、何もかにも良い味に仕上がっていた。
予約で満席だったのがうなづける。
会計時に店の人がやってきて、私たちが初めてだと知り、
いろんな説明をしてくれた。
なかなか親切な感じの良い対応だった。
店が狭いのもすっかり気にならなくなっていた。
贅沢なお昼もたまには良いものだ、
また利用しようと思っている。