今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

老兵は残っていた

f:id:anzufig:20210112094053j:plain

明日は友達と山へ行くことになっている。

そのため色々と準備をして、電話をかけ最終チェックをした。

その会話の最中に「靴を忘れないでよね」と彼女が言ったのを聞いた時、

私はハッとしてしまった。

 

元旦にラージヒルを散歩した時、

靴に慣れるために明日の山で使う皮の登山靴を履いていったのだった。

ところが、靴を履き替えた後、それを車に入れた覚えがない。

 

飛び出すように玄関を出て車の中を探し回った。

だけど、思った通り靴は入ってなかった。

元旦のラージヒルに脱ぎっぱなしにしてきたのだ。

 

明日のためにもう午後から移動しなければならない。

時計を見ると9時、ラージヒルの駐車場まで往復1時間強だ。

ダメもとで探しに行ってみよう。

 

靴がそのままあるとは限らないけれど、

長いこと履き込んだ靴は見事なほど汚くて古い。

誰も持ち帰ろうとは思わないだろう。

あれがないと週末もアイゼンの必要な雪山が待っているし、

明日の友達との約束を破ってしまう。

 

逸る気持ちを抑えながらハンドルを握ると、

目的地付近で道に迷ってしまった。

方向音痴の私はここで毎回道に迷うのだった。

幸い道を尋ねた散歩人が私の勢いに負けたのか助手席に乗ってくれて、

ラージヒル入り口まで案内してくれた。

 

駐車場には神社があって散歩人以外にも初詣客が多く来る。

さて、靴は残っているか? それともゴミ箱に突っ込まれたか?

 

祈る気持ちで駐車場に入ると、愛靴?が路側帯にきちんと並んでいた。

道案内の見ず知らずのおじさんと声を出して喜び合い、

一路自宅へ戻ったけれど、元旦から4日間、

まるで忠犬ハチ公のように愛靴がそこにいたと思うと嬉しくてならなかった。

 

何て健気な靴なんだ、何て心優しい道案内人なんだ。

何よりも友達の「靴忘れないで」の一言が有難かった。

良い人尽くしの新年である。