体調がようやくよくなった感じがしたので、
いつもの散歩ラージヒルコースを歩いてみた。
ここは私の足で1万歩ほどの丘陵コースである。
一週間ほど家に籠っていたせいか、
最初の階段で少し息が苦しかったけれど、どうにかやり過ごせた。
階段から先は穏やかな道が続き、そんなに体力を使わない。
満開の桜が1本だけあって春を感じた。
祭日のせいで子供連れが多く歩いていて始終賑やかである。
お昼前に出発したので今日はお弁当を持ってきた。
でも、ここは町の公園だから、ベンチに座って食べても落ち着かない。
やっと人目を避けて岩場に陣取り、
百円ショップで買ったソロテーブルを出す。
防水の紙でできている安物で、なくても良いものだけれど、
何となく新しいことをして遊んでみたかった。
残り物を詰めたお弁当をテーブルに乗せ、
コップにお茶を注いでにわかボックス席を作る。
食べている間、数メートル先を人が通ったけれど、気にしないことにした。
ここは自然のレストランなのだ。
気を良くした私は、いつもUターンするところより歩を進めて、
その先まで往復し小一時間余計に歩いた。
そこまで歩いたのは実に10年以上も前になる。
記憶がすっかりぼやけていたけれど、
誰もいないてっぺんのテーブルは見覚えのあるものだった。
眼下に懐かしい街並みが広がっている。
ビルや住宅、ゴルフ練習場、病院、学校などが見える。
この下には人々が平和に日常を過ごしているのである。
その様子を想像するのは誰にもできる簡単なことだ。
そんな町にどこの誰がミサイルを落とせるのか。
暗澹たる思いに捉われた。