遠い道のりを走り、
その上手伝いで忙しかったからひとりの時間が欲しくなって、
車の中で一晩を過ごした。
アウトドア派の人たちの間でとても流行っている、
「おうちキャンプ」ならぬ「おうち車中泊」である。
私の車は工夫をすれば横になることが出来て、
ひとり車中泊には持って来いの車だ。
家の者たちは寒いからと反対したけれど、
私は自分の時間を取り戻したかった。
それに山に囲まれたこの家で車中泊をしてみたかった。
山の家の駐車場は坂になっている。
だから、明るいうちに工夫をして座席を平らにした。
荷台は使いやすいテーブルになり、
そこにタブレットを置き、お気に入りの動画を見る。
夕食は済ませているからただ寝るだけで、
面白くもおかしくもないのだけれど、
やはり、ひとりっきりで過ごす時間はホッとすることができる。
朝、目が覚めると窓ガラスに水滴がびっしりついていた。
黒々とした杉林の稜線がくっきりと窓に浮かび、
懐かしい山の朝を夢見た。
(写真 昨日の紅葉の森)