昨日はまだ下見をするところがあったため、
家には戻らず、友人と二人でキャンプをすることにした。
そこは、昨日の場所から車で30分ほどしか離れておらず、
そこから出発した方が便利だった。
そうしようと決めていたので、事前に目的地近くのキャンプ場を調べておいた。
最近、妙にキャンプが流行っているようで、ここもお休みの日は空きがなく、
幸い昨日は平日で、1か所だけが空いていて予約できたのだった。
テントは去年買ったキャンプ用のもので登山用のように小さくはない。
コロナで利用制限がかかっているらしく、
場所はいつもより広々と使えるらしかった。
私は初めて泊まることになる。
キャンプというのはとても荷物が多くて用意が大変だけれど、
コロナの影響もあってびっくりするほど愛好者が増えている。
私は数日前から野営用の諸々の品々を少しずつ車に詰め込んで準備しておいた。
まずはテント一式、インナー、フライ、ポール、ペグなど何と10キロもある。
地面に敷くブルーシート素材のグラウンドシート、内部に敷く大きな銀マット、
お布団の代わりになるエアマットに低反発マット、下に敷く毛布、寝袋が4つ。
酷寒の山も経験している友人が呆れるほどの寝具の量だった。
あとはお皿や鍋、こまごまとした調理器具、それに食材や調味料など、
大変なのだけれど遠足に行く前の子供のような気持になる。
登山のテント泊と違い、大荷物も車に突っ込めば気にならない。
そして、いちばん楽しみな焚火を何でやればよいのか考えた。
今はどんなキャンプ場も地面で火を熾すことを禁じている。
地面に焼け跡を残してはいけないという。
昔なら焚火の跡で山の道迷いから免れたこともあるというのに、
美観も大事なキャンプ地なら致し方ないか。
家には大小のバーベキューセットはあるにはあるが、二人だけなので大きすぎる。
そこで思案した結果、とても良いアイディアが浮かんだ。
全然使っていなかった穴の開いたスパゲティ茹で鍋の内鍋はどうだろうかと。
買えば何でも手に入るけれど、ちょうど良い大きさの焚火台など高価すぎる。
ともあれこのステンレスの頑丈そうな鍋が、
やっと日の目を見るのは素晴らしいことではないか。
自作というよりアイデァ焚火台である。
偶然にも隣の若者のグループが私のものと同じテントを張って歓談していたので、
やり方を尋ねに行くと一組の男女が駆け寄って来て上手に張ってくれた。
ペグのやり方なども教えてくれ、親切な人たちで有難かった。
薪は森の中なので山ほどあった。
念のために家から小さな薪と炭は持ってきている。
友人に世界で一つしかないマイ焚火台をセットして上げると、
目をまん丸くして驚いていた。
自分の家にもあるかもしれない、探そうなどと言っている。
マッチで火をつけると杉の葉がパチパチと音を立てて、
赤い炎が勢いよく舞い上がった。
彼女は楽しそうに火の番をし始めたので、
私は缶ビールを開けて、バーベキューの用意をした。
キャンプの宴は8時になって突然の雷雨でかき消されたけれど、
最後のカレーも全て自然の炎で温めることができた。
広いテントは全室の荷物も濡れず、快適な森の夜になった。
(写真 お菓子の缶を入れて浮かせる。全体に空気が回るせいか塩梅が最高)