今年は海を見ていない。
いや、厳密には1月にタラゴナから地中海を眺めたきりだ。
そう思うと、秋晴れの青空が海行きを誘っているようで浮足立った。
カモメの舞う潮風、漁船のある港の風景、それらがとても恋しい。
ちょうど同居人の夫が暇になった様子だったので、
一緒に来てくれるように頼み込み、急いで車に荷物を積み込んだ。
マットにランタン、水やバーナー、保冷バッグなどなど。
突然の旅ゆえ宿はもちろん車、今年2度目の車中泊を期待している。
お昼は新しくできた道の駅に寄って串揚げを食べた。
平日なのにたくさんの客がいて、店は賑わっている。
広い敷地内の施設を見物した後、また一路海へ向かう。
出発から4時間後、たどり着いた海岸には数台の車しかなかった。
海水浴の時期には込むらしいが、さすがに10月の海は閑散としている。
そこは白いしぶきが打ち寄せる松林の美しい砂浜だった。
カモメも空を行き交っている。
コンクリート作りの立派な東屋にはテーブルやシャワーが備わっていて、
住民サービスなのだろうか、朝から夕方まで自由に使うことができる。
辺りはほとんどホテルなどで占められているので、
気ままに行くことのできるこうしたサービスは有難い。
国中の自然な海岸線がなくなる中、奇特な場所だ。
しばらく砂浜を散歩した後、まだ早いので海岸通りを北上した。
お魚も買いたいし、今夜の宿も探さなくては。
満月の夜だし、月を見ながら眠ろうと思う。