昼食を済ませた後、隣町の友達を誘って近くの山城跡を歩いてきた。
ここは由緒ある名跡で、全体が丘陵地なので汗をかくには格好の場だ。
まずは神社の長い階段を上り、友達に案内されて暗めな山道を通る。
木々に囲まれた道の脇には、ヤマイモの蔦にムカゴが実っていた。
「むかごだあ!」と私は叫んだ。
ムカゴを最初に知った時は、その形状や生態をとても不思議に思った私だった。
それがとても美味しくて、晩秋の季語だということになおさら感動した。
だから、この時期に野道を歩く時には、
必ず気を付けてヤマイモの蔓を探している。
自然と探してしまうのである。
たくさん採れたら天ぷらにするもいいし、
もちろんまずはむかごご飯だなどと思いながらである。
まだ葉も青々としていたけれど、
ヤマイモにはもうムカゴがついていた。
これは採らなければ。
天気予報が雨だったため折りたたみ傘を持っていたので、
ムカゴ採りの合理的な採り方を共同作業でやってみた。
友達が全体を上から拾った枝でバサバサと叩き、
私が下に広げた傘でパラパラと落ちるムカゴを待つ。
ヤマイモの蔓は込み入っているので、面白いように落ちてきても、
半分以上は灌木に邪魔されてどこかへ消えてしまう。
それでも、二回分のむかごご飯になる量は採れた。
友人は昨日、道の駅でむかごを買わなくて良かったと言う。
よほど買いたかったそうだ。
袋に入れたむかごを分けてリュックに入れ、
やっと私たちは歩き出した。