今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

未踏の尾根を歩く喜び

 

山を歩いていてまだ自分が行ったことのない尾根があったら、

いつかはそこを歩いてみたいと思う。

仲間たちも同じ思いらしく、

当初今回の山旅で予定したシロヤシオの山に行かず、

地図上に伸びる枝尾根を時間の許す限り進んでみることにした。

地図には未踏の三角点のピークが二つもある。

 

三人の大型リュックを幹に紐でつないでデポし、

身軽なサブザック(アタックザック)に雨具や水とサンドイッチを詰めて、

一夜の宿を出発した。

 

山で迎える朝はどうしてもノンビリしがちで、

時計を見ると10時を過ぎていた。

これは常識的な登山では許されないことだけれど、

野営地から車までは下りだけのよく知った道で、

1時間ほどと短いし日も長い。

ここには3時に戻っても大丈夫だ。

 

初めての尾根は決して獣道のような感じではなく、

人間の踏み跡がしっかりとついていた。

ただデポ地点から緩やかに高度を下げ続けていくので、

帰りの上り返しが気になるところだった。

 

出発するとすぐに一人の青年が向こうからやってきた。

こんな場合、必ずコースの状況や経過時間、

またどの登山口から来たのかとか、

そして、今からどこへ向かうのかと尋ねるようにしている。

 

地図も大事だけれどお互いに今歩いて来たばかりなので、

情報はとてもためになる。

特にこの日は私たちにとって初めてのコースだったから、

青年の説明は有難かった。

 

彼は私たちがもともと行こうとした向かいの尾根、

つまり、シロヤシオの山を通ってバスのある登山口まで縦走するという。

そのために車で来てはいないのだった。

夕方の4時頃までかかるらしく、

朝の6時からかと思うとその健脚に驚いた。

 

この日は未踏の三角点には時間切れと体力切れで到達できなかった。

それでも、その一つ手前のピークは踏むことができた。

緑の光輝く尾根道は青年以外誰とも会わず、

私たちの天国で私たちだけが分かる名前を○○尾根と命名した。

 

次回は青年が来たこの○○尾根の出発点から反対につないでみたいと、

一同強く思うのだった。