今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

欲深なムカゴ採り

我が家から小一時間ほどのヒルキャッスルは、

広葉樹に囲まれた緩やかな自然公園で、

散歩人が絶えることなく歩いている人気の場所である。

長い尾根道なので中には大袈裟な登山スタイルの人もいれば、

気楽にロングスカートを着た町姿の人もいる。

 

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私も今日は用事のついでに足の調子をみるために、

お宮に続く長い階段を上った。

ここなら上の城跡まで往復2時間ほどだから運動にはちょうど良かった。

 

ところが、今までなら200段の階段で休むのは2度ぐらいだったのに、

この日は何度も立ち止まってはふうーと深呼吸をしてしまった。

散歩に間を置いてしまうとすぐにこんなことになる。

少々足が痛くても散歩は欠かしたらいけないなあとつくづく思った。

整体師さんからもそう忠告されている。

 

長い石の階段を上り終わり、涼し気な緑のトンネルの小道に入る。

道は幾つもあるけれど身体が自然と平坦な小道の方を選んだ。

すると、右手の灌木にムカゴの実がなっているではないか。

私は歩くのをやめてムカゴ採りを始めた。

 

去年同じ頃、友達に案内され、ここでムカゴ採りをしたのだった。

偶然にも今日背負ってきたリュックのサイドボッケに、

その時採ったムカゴがそのまま忘れられて入っていた。

山ラン用の小さなボッケだけれど、

干からびた大きめのムカゴがびっしり入っていたのだ。

 

これは去年、夢中で採ったムカゴを友達と分けてボッケに入れたものだった。

食べるのを忘れてしまうなんてどうしたことだろう、

ムカゴにも友達にも申し訳なかった。

 

あれからもう1年が経ったのかと思うと、

月日の経つ速さに衝撃に近い驚きを感じた。

おちおちしてはいられない。

 

私は目を凝らして被って来た帽子にムカゴを次々と入れた。

秋の蚊の凄まじいほどの羽音に耐えながら、

欲深の私の目は爛々と輝いていた。

縄文人の目をしているに違いなかった。

自然のものを頂く時、心がこんなに踊るのはなぜだろう。

 

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小道はメインルートから外れているので誰も来ず、

道の先まで探し続けてみんな採ってしまおうと思った。

何と欲深い私だろうか。