大分以前のことだけれど、海外でホームステイをしていた時のこと、
人と話す場合、宗教と政治の話題はしてはいけないと教わった。
現在ではどうか知らないが、以前はよく言ったものだ。
食事の席でそうした話題になると味がまずくなると。
人は自分と違う宗教や異なる政治思想が話題になった場合、
たいていが分かり合えない。
海外では宗教の違いは大きいし、何かあれば暴動さえ起きる。
だから、避け切れない自然災害で苦しむことと同じほどに、
隣人とのいさかいや国と国の争いや内戦も後を絶たない。
ところが、日本は宗教に関して言えば、
宗派が違うからと言って争うこともほとんどなく、
むしろ商売に利用されてお祭り騒ぎになることも多い。
だから、怪しげな新興宗教は別として、
宗教の話題はタブーではないと思う。
でも、政治的思想に関して言えば発言しにくい。
なぜか政治的思想も宗教と同様にカテゴリー化されている。
分かりやすく言うと右か左か、多数派か少数派かなどだ。
知り合った人が自分と異なるスタンスだと知ると、
そこですぐに色眼鏡で見てしまい不毛な会話が増えていく。
実は現在では、もうそういった区分けはほとんど意味がなくなっているというのに。
だから、考えの立ち位置(スタンス)が違っても闊達な意見を言い合って、
健全な国の未来像をお互いに描かなければならないのではないか。
政治とは私たちの暮らしそのもので、
次の世代を託す大いなる力なのだから。
ラジオから流れる政局のニュースを聞きながら、
そんなことを思った。
(写真 黒アゲハは蜜を吸うのに一所懸命)