掃除をしていたら去年の新聞が出てきた。
新聞を読まないで捨てるのは忍びなく、
つい溜ってしまったのだった。
新聞の日付は何と今日の日付で、
しかも一面の見出しには、『首都圏3県に緊急宣言』とある。
国内で初めて1万人を超えたから宣言されたようだ。
今は1万人どころか20万を超えそうな勢いで、
コロナ蔓延第7派としきりに言われている。
それなのに国や自治体からは何の宣言も発令もない。
当初は30人ほどでも震え上がっていたのに、
すっかり慣れてしまったのか成す手がないのか。
もともと私の考えでは、ウイルスは日常の暮らしの中で、
ごく当たり前にヒトの体に取りついているのだと思う。
だからと言って、全ての感染者に症状が出るわけではなく、
大抵のヒトはそれら免疫力という武器で異物と戦っている。
そうでなければ、有史以来ヒトがこれほど増殖することはなかっただろう。
医学の力でウイルスを駆逐するのはモグラたたきのような気がする。
ただ有史から連綿と続いてきたヒトの自然な暮らしが、
近代になって相当に変わってしまったことが気になる。
動力の推移は馬や牛から水力、原油、電力などと変わっていき、
ヒトは自力でモノを作ったり修理したりできなくなった。
病も科学や化学の力で治すことが多い。
ヒトの日常から死が遠ざけられた。
この新聞の見出しを見ていると、
ラジオから流れる「経験したことのないような大雨。熱波」などの言葉が、
ヒトの行きついた世界に相応しいのかと納得してしまう。
ウイルスもそんな意味では今までの常識は通用しないのだろうか。
私たちは何を目指せば幸せの未来があるのだろうか。
(写真 東京新聞 2022.7.30日付)