久しぶりに次を見たい、早く見たいと思う面白いドラマに出会った。
『バビロン・ベルリン』である。
無料サービスのgyaoで見つけ、いつものレンタルビデオ屋で借りたものではない。
このドラマの内容は、歴史、風俗、人間関係など実に深くて、
視聴者の評価もかなり高く、ドイツでも稀有な傑作とのことだ。
舞台は1929年のベルリンで、
主な登場人物は警察の風紀関係の捜査をする刑事と、
その助手のような存在となる極貧の若い女性など。
トロツキストたちの動きも複雑に絡んで、観る者を飽きさせない。
私はあまり近現代史にも歴史にも疎いため、
当時のソビエトやワイマールの歴史を少し勉強し直し、
同じドラマを3度ほど見直してやっと1話を理解するという感じで進んでいる。
それほどまでしてもこのドラマは面白くてならない。
そこに登場するロシア貴族の女性の演技力には圧倒された。
彼女だけでなくすべての人物に存在感がある。
ドイツロマン主義とみられる人々の動きも見逃せず、
とにかく興味満載してドラマは展開していく。
これは2017年からドイツのテレビで放映開始され、
番組は大変な話題を引き起こした。
ワイマール共和国時代のベルリンの街やキャバレーの様子、
まるでその時代に行って来て撮影されたような錯覚を覚える。
日本の時代ドラマもぜひ真似をしてもらいたい。
劇中にロシア貴族役の女性が男装してキャバレーで歌う頽廃的な歌、
『灰は灰に、塵は塵に』の曲がもの凄い。
これは一度聞くと、耳から離れないようなインパクトで迫って来る。
独特なリズムとメロディー、それに歌詞。
現代ドイツのクリエーター達の才能には驚いてしまった。
「絵空事かも知れないけれど、結末は誰にも分からない」という文句があって、
次に「‥‥その手を私に委ね、ともに不滅なものを探しに行こう」とある。
この歌の歌詞は何かその後のドイツの行方を暗示しているようでならない。
この「灰は灰に、塵は塵に」という言葉は、
永遠の命を貰ったはずのアダムとイブに神が下した罰である。
彼らは神との約束を破って知恵の実を食べたからである。
お葬式の時に使われる文句だというから、決して縁起の良いものではない。
西洋の作品は聖書の知識がないとなかなかぴんと来ない。
バビロンという題名もそれと深く関係しているのだろうか。
バビロンとは聖書ではバベルの意味らしい。
まだ4話までしか観ていないから、
今後どういうふうにドラマが進んでいくか楽しみにしている。