「GO TO TRAVEL」という政府の政策が始まり、
マスコミはその混乱ぶりを報道している。
コロナ禍は一向に静まる気配もなく、
旅客を受け入れる側も旅行者も複雑な心境らしい。
そんな中で前倒しで始まった旅行推進キャンペーン、
私にはその政府の発想がよく分からない。
宿を予約しての家族旅行など全く縁がないし、
それよりも何よりも国のお金で得したいとは思わないからだ。
国のお金とはつまり、税金である。
税金とは血税であり、大昔で言えば年貢ということになる。
自分で遊ぶお金は自分で作りたい。
他人の年貢を頂いてお得な旅をしたいとは思えないのだが、
どうやらそんな私はかなりな偏屈で少数者みたいだ。
大体幼い頃から家族旅行などしたことはなかった。
親は生きるために必死で、
今でいえば大家族と言える日々の食費を稼ぐのが精いっぱいだった。
とりわけ働き手の父親が病に倒れた時は苦しかった。
親は身の丈にあった暮らしをするよう子供たちを教育した。
だから、子供ながら家族旅行など夢見たこともなかった。
ところが、今は「旅行をしろ」と政府が声高に言っている。
旅行をさせて人々にお金を使わせ、
それが還流してまた国に戻ってくるということなのか。
このコロナ禍で推奨された「ステイホーム政策」のせいで、
旅行どころか私の幼かった頃のように、
食べるだけで精いっぱいの人たちがいるのである。
親が病気や失職で貧乏なためにバイトをして家計を助けていた若い人が、
働き先がなくて困っている。
店の数だけ考えても容易に想像できる人数が困っているはずだ。
そうした家庭は本当に旅行どころの話ではないと思う。
一体そういう階層の人たちはどれほどの割合でいるのだろうか。
その人たちはテレビの報道を見てどう思うのだろうか。
自分が苦しかった時期があったせいか、
いつも恩恵を受けられない人たちのことを考えてしまう。
こうした考え方は損な考え方だろうか。