今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

佐藤しのぶさんの内面の豊かさに圧倒される

今日でインフルにかかってから6日目。

朝の外気は久しぶりに-0.7を差していた。

 

図書館の本が返却期限になっていたので、午前中に返してきた。

実に6日ぶりの外出である。

咳がひどいので周囲の人が迷惑するため、

強めのマスクをしっかりしてつけて行ってきた。

 

係員さんに頼んで佐藤しのぶさんのCDを借りる。

病気の間、ユーチューブで彼女の追悼番組を見てから

彼女の歌ばかり聴いているのだ。

 

世界的人気のソプラノ歌手ということは知ってはいたけれど、

あまりにも美しすぎて世界が違い、興味がわかなかった。

もともと私は声楽を鑑賞するのは苦手で中でもソプラノは嫌いだった。

 

ところが、追悼番組での彼女の発する言葉に感銘を受けた。

奢ることのない本物のヒューマニスト、歌の天使。

それがインタビューを聞いた私の感想だ。

 

彼女はバングラデシュベラルーシなどの国を訪問し、

恵まれない子供たちの前で歌った。

書いた本の印税のすべてはそれら子供たちへ寄付していた。

 

平和に対する願いも強く、核のない世界を目指し、

唯一の被爆国である日本こそいちばん努力すべきだと言う。

海外暮らしが長かったからとりわけそう思ったようだ。

 

その話しぶりはたいそう自然体で無理なく聴き手を納得させる。

あれほど恵まれた人なのに強欲さが微塵もない。

世の中にこういう人がいるのかと驚いた。

 

彼女は一度も音楽をお金と結びつけて考えたことはないと言う。

だから、仕事のない音大生にも音楽を楽しむ人生が送れたらそれで良いのではと諭す。

私も学問とはお金を結びつけるのは好きでないので、

こんな凄い人もそうなのかと嬉しかった。

 

某ラジオ局の今年5月のインタビューだったけれど、

何とその後、彼女は数ヶ月で突然天に召された。

残念だったろうな、まだたくさん人々に歌を送り続けたかっただろうなあ。

平和への実りを確かめるまで死にたくなかっただろうな。

 

彼女の無念が強く感じられ、言いようもなく切なくなる。

あれほど強靭そうな肉体を持った人間を突然死の淵に突き落とすなんて、

人の運命って何だろう。

 

「母の教えし給いし歌」(ドヴォルジャーク)を聴きながら日記を書く。