草むしりをしていたら、
イチゴの葉の陰にトカゲのようなものがいた。
トカゲは庭で時々その敏捷な姿を見かけるけれど、
何だかいつもと違う感じがする。
よく見ると二匹が絡み合ってとぐろを巻いている。
きっと交尾をしているに違いない。
部屋にカメラを取りに行った後も同じ場所に動かずにいた。
どっちがメスなのかオスなのか素人の私には分からなかった。
不遜な気がしたが写真に収めたかった。
カメラのレンズを通すと、まるでイグアナか恐竜のような雰囲気だ。
小さいからよいものを、これが大型犬ぐらいの大きさだったら、
間違いなくジェラシック・パークの世界だ。
想像するとぞっとする。
でも、そのじっと絡まった二匹の様子をそっと見ていると、
だんだんと厳粛な気分になっていった。
今にメスは多くの子供を地に送り出すだろう。
生き物の命を伝えていく力は、
生物学的にはDNAに支配されているには違いないが、
何やらそれとは別の神秘的な力を感じてしまう。
たぶんそれが命を生み出す行為だからだろう。
水辺公園のフナの産卵の時もそんなふうに思えたけれど、
地球上の生きとし生けるものは、
有史以前からこんなふうに次世代を生み出し続けている。
彼らの次世代はあまり親に手間暇かけさせず、
驚異的な速さで巣立っていく。
それにしても人間は次世代が自力で生きていけるまで、
なぜ多くの手間と年月がかかるのだろうか。
進化の頂点にいると言われているのに。
もしや人間は、
生きるために思い出が必要だからなのではないか。
子供とともに生きた日々の思い出が。
それが幸せだったとしてもたとえ歪んでいたとしても、
子供にとっても親にとっても思い出が必要なのだ。
そうだとしか説明のしようがない。