我が家の庭の一等地にランドマークのようになった大木がある。
この木は一昨年の暮れに友人夫婦が刈り込み伐採をしてくれてから、
全く世話していなかったのでかなり大きくなった。
常緑の大木は目隠しになり格好はよいけれど、
日当たりの良い場所を独占していているのはどうもいただけない。
床面積?は2㎡ほどもあろうか。
実のなるミカンの木だったらよかったのにと歯がゆい思いになる。
今日はさすがに気になって刈り込み作業に精を出した。
椅子や脚立を駆使して切れ味の悪い刈り込みばさみで頑張ったけれど、
てっぺんの方にはどうしても手が届かない。
おかげで遠くから見たら巨大なキューピーの頭のように仕上がっている。
腰痛持ちの夫には頼めないので、
こうした高所?作業は私がやるのだが、
なぜか幸運なことにいつも友達に助けられてきた。
5年前には2階の屋根に届きそうになったのを、
訪ねてきてくれた友人が私の手の届く高さに切り詰めてくれたし、
その後も誰や彼やと頼みもしないのにチョキチョキとやってくれた。
今日はキューピーさんのままでも良いかなと諦めて、
その姿を写真に納めていたら、前の家のご主人が出てきた。
どうやら家の中から私の作業を見ていたらしい。
彼は遠慮深げに「切ってあげましょうか」と私に言った。
この人はとても穏やかな人で、何くれと親切にしてくれ、
何となく私たちの間には親しい友情のようなものがある。
でも、立木の刈り込みのような大掛かり?な助けは初めてのことだった。
それからは、私が脚立を支え、二人で作業をした。
よく切れる刈り込み鋏を自宅から持ってきてくれたので、
そんなに時間がかからずてっぺんが丸く上手に仕上がった。
彼は人の好さそうな笑顔を見せて、
何度もその木を眺めながら
「プロじゃないから、これでよいかな」と、
自分に言い聞かすように呟いた。
「上出来、上出来、最高!」と調子よく答える私。
なんて頭の低い人だろう。
この人が隣人で本当に良かった。
明日ケーキを焼いてお礼に届けよう。