隣の若いファミリーが揃って外で騒いでいた。
奥さんが私の名を呼ぶので慌てて出たら、
勝手口にヘビが這っているという。
仕事に行った夫が朝に見つけたヘビらしい。
指さす方を見たら、大きなヘビがサッシの溝を伝うように上へ上っていた。
我が家のガレージからすぐそばの勝手口、
ヘビは当然ジャングルのような我が家育ちだと思う。
いつの間にか低いフェンスを越境して隣地に入り、
勝手口の扉を這い上ったようだ。
隣の家は草も木も育ててないからヘビの住処の余地はない。
じっと見ていると、ヘビは上へ上へと行こうとしているが、
まるでアラブのヘビ使いのヘビのように全身を動かし、
丸くなったり棒のようになったりしていた。
黒々とした一本の紐が魔法のように壁を動いている。
ヘビに罪はないのに、その形態はただ恐い。
ヘビに詳しい友人に電話してみると、
「壁を這うのは暑いのに可哀相、騒がないで放っておいて」と言った。
電話で話している間、ヘビは壁と格闘していたが、
垂直の壁ゆえ、力尽きたのかストンと落ちてしまった。
ヘビも木から落ちるのかあ。
その後、確かめたらヘビの姿は隣の地面になかった。
きっと50センチほど先の、
我が家のトマトジャングルに避難したに違いない。
友達は「ヘビは我が家の守り神なのよ」と言っていた。
彼女の家には3匹のアオダイショウが棲息していて、
毎年挨拶を交わす仲?なのだそうだ。
だから、草の中を歩くときは先にガサガサと音を立ててあげるのだそうだ。
ヘビはヒトが恐いから隠れるからと。
そのことを隣の人に教えたら、
「そいじゃあ、宝くじ買おうかしら」と言ったので、
今、どちらかの家に潜んでいるあの大きなヘビは、
きっと今までのようにのんびりと夏をやり過ごせるだろう。
私も安堵している。
明日からはヘビに私の存在を知らせなくては。