昨夜は笑いの絶えない最高のパーティーだった。
最後に仲間が担いで持ってきてくれた祝いの苺タルト、
まさか山の中でそんなものを食べられるとは感激した。
私たちのまとめ役をしているリーダーは、
重い荷を平気で担いで山を歩く猛者である。
他の四人も力持ちの健脚で実に頼りになる仲間だ。
今朝は4時にはみんな起き出して朝ご飯の支度にかかった。
鍋の残りの野菜があるので、
キューブの出しで調理した熱々のきしめんを食べた。
これがとても体が温まって嬉しかった。
朝用のサンドイッチはお昼の分に残して、各々お茶やコーヒーでしめ、
荷物でいっぱいになったテントの中をかたづける。
エアマットやシュラフをコンパクトにリュックに納めるのは難しいけれど、
みなは相当に慣れているのかあっという間にできてしまう。
みんなで一緒に寝ているのでひとりとは違い、
シュラフの中は一晩中寒くはなかったが、
外は強い風が吹いていて、どうやら雲行きが怪しくなっている。
今日は目的の山を越えて縦走をする。
少し明るくなってから霜の張り付いたドームの後片付けをした。
リーダーが慣れた手つきで折りたたみ、
ポールと本体は別にして各々が荷を負担する。
食事係は全員の食材を持ったり、他の仲間はガスやコンロを持つ。
弱虫の私には一切共同の荷物負担がなく、
ちょっと肩身が狭い。
いつも彼らと歩く時は、こんなかたちで歩かせてもらっているけれど、
それぞれ力量は違うし、自分の出来ることをやれば良く、
軽い荷の私を誰も責めたりしない。
そのため私たちの関係は穏やかにとても長く続いている。
私は荷物を持てない分、臨場感のある記録を書いて皆に送っている。
帰宅してからなるべく手元に届くように努力している。
私は仲間のためにそれぐらいしかできない。
さて、今回の記録はどんなふうに書こうか、
あちこちに新雪の被ったツガの森を眺めながら、
あらためて身を引き締めるように靴の紐を締め直した。