一睡もできずドバイに着陸。
降り立った空港はまるでSF映画に出てくる近未来のような作りだ。
さすが石油大国、お金持ちがウジャウジャいるに違いない。
何やら世界的なタワーもあるらしく、
土産物屋には多くのタワーの置き物が並んでいた。
どこの国もタワーが大国の証しになるみたい。
人間はどうしてタワーを作りたがるのだろう。
バベルの塔は崩れたのに、人は天を恐れてはいない。
思えば、小さい時から砂遊びで山を作ったり、
積み木ではより高く積み上げたりして、
天を目指すのは人間の本能なのかもしれない。
乗り換えが5時間でもあれば、
この国を観光するために入国することができると聞いたが、
今回はトランジット (乗り換え)で港内だけとなり、
人びとの住む町の様子は皆目分からない。
行き交う人は空を飛ぶ乗客ばかりだ。
3時間ほどの待ち時間で次の便に乗り込む。
空港は広く、搭乗ゲートに行くのに2両編成の電車に乗った。
次の便も同じように満席だった。
今度は8時間のフライト、
寝ようと試みたが、ますます眼が冴えてくる。
挙句にまた2度もの機内食サービスがあり、
これには辟易してしまう。
慣れない味のハラル料理は口に合わず、
パンを半分かじってお終いにした。
もともと胃腸が弱いうえに保守的な舌で食も細く、
食べ物には冒険ができない私。
勿体ないけれど廃棄処分だ。
日頃のエコ暮らしとは程遠い行動になるが仕方なかった。
でも、注文したワインの残りはペットボトルにて保管する。
ウトウトしたのかしないのか、
ムハンマド五世国際空港に着いたのは現地時間のお昼過ぎ。
丸24時間一睡もしてないことで、心身は限界に来ていた。
不眠を呪いつつ、用意された観光バスに乗り込み、
フラフラの身体で海の見えるモスクなどを見学。
背後に見えるジブラルタル海峡の波は、
白いしぶきをあげて激しく護岸を打ち、
とても荒かったが、よく見ると波乗り姿の人が数人いた。
このモスクはハッサン二世という王様が建てたモスクだと言う。
一度に2万人5千人もの人が礼拝できると言うからその権力は絶大だったろう。
キリスト教の教会なら馴染みがあり、心に入って来るものが多く、
理解しやすいのだけれど、
イスラムのモスクは初体験で知識がなく、理解の糸口が見つけられない。
とはいえ、その細かい職人の装飾技術には目を奪われる。
設計図もなくこの幾何学模様を作り上げたのだろうか。
勉強すべきだったのに、
いかに私がイスラムに対し無知だったかを思い知る。
この国が王政だと言うことが、
日本人の私にとっておとぎ話のようでピンと来ない。
でも、世界的には今も続く王のいる最古の国は日本と言うことになり、
次の国がこのモロッコだった。
現地ガイドさんにそんなことを聞き目からうろこだ。
カサブランカは大都会らしく、
バスの車窓から見る大通りにはトラムも垣間見えた。
添乗員のアナウンスに従い観光名所を二か所見てバスに乗り込み、
90キロ先の主都ラバトに移動した。
今回の旅は北回りでぐるっと一周するようなかたちで、
最終日にこのカサブランカに戻る周遊旅となる。
さて、こんなボロボロの身体で無事帰ってこれるだろうか。
(写真上 ドバイ空港、中 大西洋の波しぶき、下 モスク )