やっとベッドにありつけたのに、初めての異国でなかなか寝付けず、
連続三日まともに寝ていないことになる。
それでも神経は研ぎ澄まされているのだから身体とは不思議。
簡単な朝食を取り、すぐにバスに乗り込む。
道沿いには背の高い街路樹が涼しげに続き、
緑豊かな土地のような感じもする。
主都ラバトの中心地は洗練された大都会なのか、
ピンク色をした富裕層の大きな家が立ち並ぶ通りもあった。
旧市街(メジナ)は中世の城壁都市として世界遺産になっている。
カサブランカから電車も走っているようだ。
この旅がツアーでなかったら、私はきっと電車で移動すると思う。
ラバトではカスバの町で、カスバとは村を囲む城壁のことを言い、
一軒の家もカスバのようにできている。
カスバは道に迷うのでガイドの後にしっかりついた。
肉屋や魚屋、ザクロやサボテンの実などが売ってあって面白いけれど、
胃腸の弱い私は食べることができない。
それにしても、分かりにくい道だ。
外国ではよく都市や村を囲む城壁を見るけれど、
昔から争いが絶えなかったのだろうか。
島国日本とは全く違うようだ。
王様の棺を納めてあるモハメド五世廟を見物した後は、
240キロ先の北のシャウエンへ向かった。
今日はひたすら走る苛酷なバス旅である。
果たしてあの有名な青の町へ辿りつけるのか。
赤茶けた田園地帯には突然ヤギやヒツジの群れが現れる。
市が開かれベールをかぶった女たちと子供たちが、
ロバに引かれたリヤカーで市場に向かっている。
40度ほどある太陽の下、とてつもない距離をやってくる。
ラバトの都会風景とは一転し、
私には紀元前の暮らしのように見える。
でも、途中の休憩地にはしゃれたカフェがあり、
多くの旅人で溢れている。
椅子に座りエスプレッソを飲む。
通りには露店の土産物屋がいて、
日本語やフランス語で買ってくれと呼びかけてくる。
ああして一日どのぐらい売れるのだろうか。
皆売り子は男でトイレの見張り人だけは女であるのもお国柄か。
それにしてもこの国の落差には眩暈がしてくる。
きっとバスで走っているせいだ。
ひと所に数日いてしっかりと高度順応？していれば、
もっとゆったりとこの国を味わうことができるに違いない。
そう思いながらも、私の身体はついに限界に来た。
(写真はラバトのホテルの夕食 半分は食べた)
