昨夜遅く定刻通りに、成田からアラブ首長国連邦のドバイへ向かった。
機内はアラブ人や白人、中国人、日本人と、
いろんな国の客で満員だった。
中でもアジアの人はツアーが殆どで、
一方、白人は個人客が多いように思える。
乗務員はモデルさんのような美形の若い男女ばかりだ。
私が片言の英語で尋ねても、
満面の笑みを浮かべフレンドリーに応じてくれる。
簡単な日本語を話せる人もいる。
エミレーツ航空は初めて利用する飛行機で不安だったけれど、
歯ブラシや耳栓などの入った可愛い機内グッズなどが配られて、
何となく安心した。
ものを貰って安心とはおかしなことだけれど。
席に着きウトウトしていたら、
日本時間のおそらく0時頃に食事が出た。
この深夜の食事が私の睡眠バランスをのっけから狂わせてしまった。
ウトウトしていたのだから、
あのまま眠っていればどんなに身体が楽だったことか。
プラ容器に入れられた機内食は、
牛肉の添えられたハラル焼きそばだった。
野菜のサラダや生クリームのデザートが、
狭いプレートにぎっしりと乗っている。
夕食は成田で少量のお弁当を食べただけだったが、
とんでもない時間に食べる慣れない味の機内食が苦手な私は、
半分も手を付けられなかった。
海外に行くときはいつも食べられない。
もちろんビールとワインは頂いたけれど。
エコノミーの席はとても狭いため、
足は曲げたままにしなくてはならない。
気分転換に映画を見ても画面が近すぎて目が疲れ、
おかげで一睡もできなかった。
眠れないと悶々として色んなことを思いめぐらす。
この窮屈な乗客たちの姿を陸地と変らぬ豪邸のような機内で、
何度も空を飛んでいる偉い人に見せたら驚くだろうか。
もちろんこの飛行機にも後部に広い階段があって、
そのフロアには金持ち達が座る別世界がある。
眠れないまま色々考えた。
国際線は長く乗るのが前提となっている。
12時間はゆうに乗るのが普通だ。
今回は11時間近くと、ドバイから乗り換えて更に8時間以上。
丸一日近く不眠の拷問に縛られている感じでとにかく辛い。
足を伸ばし横になりたいと強く思う。
そこで、考えた。
機内構造を寝ることを基本に変えることはできないものだろうか。
左右3列、中4列の横並びの客席を、
列車の3段寝台のような立体構造にしたら、
たいして数を減らさず人々が横になることができそうだ。
それだと食事が提供できにくいけれど、
多くの残飯が廃棄物になり問題になっている機内食など、
サンドイッチ程度にしたら良いではないか。
客は少し起き上がって食べたい人だけ食べればよい。
とすると、睡眠も妨げられない。
また、こんなことも思った。
どうしてこんな重量物が、
私の4倍もあるような肥満体の人や荷物を大量に積んで、
1万キロ近い空を飛ぶことができるのだろう。
客席を見渡すと太った外人があまりに多い。
私のような者がアフリカ大陸まで行こうとしている。
多くのジェット機が大気圏を飛び交う大量輸送時代の今、
大気圏も確実に変わってしまったと思う。
大気圏が破壊されていると聞いたが、きっとそうに違いない。
フランスでは飛行機に乗らず、
列車で移動しようと言う運動も起きている。
今、大気の中を運ばれている私は、
間違いなく破壊する側にいるのは確かだ。
そんなことを思いながら、
ひたすら拷問の時の過ぎるのを待った。
旅とは苦しいものである。
(写真 出発ロビーで自作の弁当)