期待した以上のものがあった。
外観はテレビや写真で見慣れていたから、
驚くこともなかったけれど、とにかく内部が私の心を強く打った。
特にステンドグラスの色が鮮やかな赤や青、緑、黄色と美しく、
その輝きの魅力には心底圧倒された。
晴天の日だったので最高の光の饗宴を見ることができた。
ステンドグラスの模様は中世のゴシック建築のそれと比べると、
すべて具象でただの線だった。
その思い付きのような分割が、
まるで計算されつくした完璧さで迫り、
しばらく口を開けて眺めたまま立ちすくんでしまうほど。
天井に伸びる白い柱の広がる枝も然りで、
ガウディの宗教心と美意識が余すとこなく投影されている。
その後は、同じく世界遺産のサンパウ病院に寄ったが、
あまりにも美しかったサグラダファミリア見学の直後ゆえ衝撃もなく、外側だけ見物して宿のある郊外のホテルへ。
そのホテルが隣に大型ショッピングセンターがあって自由に買い物できたのは良かったけれど、
入口の扉の外はまるでアメリカ西部のドライブインみたいにガラスのない廊下になっていて、
ドアを開けると風が吹き曝しで、
あまり、居心地のよくない一夜を明かすことになった。
実はちょっぴり頑張って買った美味しいワインを、
床にこぼしたのが一番悲しかったのだれど。
今回のバス旅は大変忙しく、
今日はモンセラットの「黒いマリア」を見物してきた。
ここは以前から行きたかったところだ。
個人旅なら登山電車とロープウエイでのんびり行けるのだが、
今日は団体ゆえスカイラインのような道をバスで上った。
土曜日のせいか朝から家族客の車がすでに押し寄せている感じだ。
この場所はカタローニャ地方の守護聖母で、
地元の人々の拠り所なのかもしれない。
修道院入口にはオフシーズンとはいえ多くの客が並んでいた。
観光客は地元の信者も入り混じっていたが、
韓国の団体が隣にいてハングルが飛び交っている。
ぼやっとしているといつの間にか彼らの中に混じってしまう。
10分ほど待って細い通路を通りマリア様の階段を上る。
マリアのその手に持つ「黒い球」を触ると、
縁起が良いとか願いが叶うとか聞いたので、
しっかりと撫でていたら守衛のおじさんに早く動くようにと諭された。
ここは奇妙な岩山が砦のように屹立し、
その懐にベネディクトの修道院があるところだ。
ここでの少年合唱団の聖歌隊を聞きたかったが時間が合わない。
この場所が世界遺産でないのが不思議。
この独特な形態がガウディ建築に影響を与えたらしいのに。
岩山へ続く山道に少しだけ登って行ってみたら、
ロッククライマー達も何人か歩いていたので、
登山の好きな私は興味津々で彼らの後を追いたかった。
ローマ時代の円形競技場に立ち寄り、
自由時間いっぱい地中海辺りの光景をカメラに収める。
ふたたびバスに乗り込み「悪魔の橋」と呼ばれているラス・ファレラス水道橋を歩いて渡って見学し、
帰路は水道橋を利用せず谷底に降りて入口へ戻った。
底から見上げる石橋は巨大で、
ここに残っているのはスペインで2番目に大きいらしい。
ローマ時代の水道橋を見るたびに、
水というものがいかに人間にとって大切なものか思い知らされる。
ここからバレンシアに向かう途中でお昼を食べ、
夜はホテル(2泊目)のレストランでパエリアを食べた。
(写真上から サグラダファミリア、モンセラット、水道橋)