旅の日が近づいてきた。
初めて行くイスラム圏だ。
今から1300年前、「神は偉大なり」という叫びが、
西へ西へと進んで阻止された場所。
私はそこへ行く。
いよいよ準備しなければならない。
なるべく身軽にしたいからあれこれと考え巡らす。
旅というものはこうした出発前が楽しいものだ。
床に広げたスーツケースの中に思いついたものを入れていく。
準備に何日もかかるけれど、
それが見知らぬ国への期待感を高める。
服装は夏物で良いけれど、かの地は日本と違って、
40度を超えた日でも朝晩はとても涼しいらしい。
そのためカーディガンとウインドブレーカーも入れた。
ひとり旅ではないため普段は着ないパジャマも詰める。
下着は使い捨てのものを滞在日分用意し、
靴下やシャツは現地で洗うことにして3枚だけにした。
毎日履くジーンズは、ポッケにいざという時の日本円を隠しているので、
汗臭くなっても着た切り雀でしのごう。
これでずいぶん軽くて済む。
機内荷物にするリュックには、こまごまとした歯ブラシなどの日用品に薬、
機内やホテルで履く使い捨てスリッパ等々。
外国用コンセントと充電ケーブルもここに入れる。
それに、ティシュにハンカチ、サングラスやスカーフ、帽子、
一日分の着替えとカメラ、携帯、タブレットなど。
最後にいつも肌身に付けるパスポート袋を、
リュックのかたわらに置いておく。
これは出発の朝に装着しよう。
財布は持たず腰に巻いたポシェットに現地のお金を入れよう。
これらのものをひっくり返しては入れたり出したり、
何回繰り返したことだろうか。
やればやるほどまとままりがつかない。
年を取るにつれ旅支度がだんだん下手になってきたような気がする。
でも、この時間こそが旅の大きな喜びの一つなのかもしれない。
さて、今は未来だけれど現実の旅は果たしてどんな旅になるだろうか。