郊外の道を走っていたら、
まん丸く眠るようにタヌキかテンなのか?
金色の毛を持った幼い?野生動物が横たわっていた。
車に轢かれてあの世へ旅立ったものだが、
道の端なので身体はそのままで、可愛らしく眠っているようだった。
その辺りは大きな川が近くにあって自然が豊富で、
まだまだ野生動物が多く棲んでいるようだ。
それにしてもその姿がいたいけなく、とても可哀相になった。
その幼さで死ぬことはなかろうに。
夜行性の彼らにとって深夜に走る車は、森の猛者に見えるかもしれない。
朝の国道はせわしなく車が走る。
光る眼を持った森の猛者たちが次々と疾走する中、
命がけで道を横切ろうとする小さな野生動物。
できれば川のほとりで自然に息絶えて欲しかった。
その後は空の者たちの餌になるべきだった。
一匹の小さな動物に思いを巡らすと、
その二つの目に広がっていたこの世界はどうだったのか。
美しかったのか、見にくかったのか。
地面がずっと平らで驚いただろう。
人間のように親子関係を引きずることもなく、
人間のように語ることもなく、
人間のように悪意もなく、
ただ今を生きるために獲物を探す刻々。
しばらくその短い一生に思いを巡らした。