近くの公園に行くと、よく犬を連れた人を見かける。
紐を持つ主は老若男女様々で、平日は老人が多い。
それぞれ勝手気ままにふらふらと散歩している。
そんな人に「お散歩大変ですね」と声をかけると、
大抵の人が「この子がいるおかげで毎日が楽しい」と目を細める。
散歩は健康のためにもなるから一石二鳥だ。
この日はドッグショーとやらがある日だったので、
犬好きな私は物珍しさで出かけてみた。
私も昔は犬を飼っていたのだ。
想像とは大違いで、会場にはテントが幾つも立てられ、
かなりな規模のイベントだった。
車も遠方の各地から来ていてびっくりした。
その車がキャンピングカーのように大きくて、
幾つも犬の檻が積んである。
土の広場に大型犬や小型犬がたくさん集まっていて、
飼い主は一生懸命に犬の美容を気遣っていた。
どんな犬も艶やかな毛並みを誇っていて、
ペット雑誌から出てきたようで美しい。
小さな犬も髪の毛?をセットされ、精一杯おめかしされていた。
飼い主もおしゃれな服装でばっちりと決めている。
ここではどうやら姿形や歩き方などを品評されるらしく、
飼い主はエントリー記号を胸に付けていた。
犬版美人コンテストのようだ。
その表情は真剣で、近くの公園を散歩する犬連れの人たちとは別世界。
特に違うのは飼い主が犬の訓練や美容にとても慣れているように見えたことだ。
数分おきに髪の毛?に犬用のスプレーをかけたりと忙しい。
集まった車の大きさからみると、
飼い主は子犬販売を生業とするブリーダーなのかもしれない。
どんな世界でも極めつけなそんな世界があるのだ。
犬は為せるがままにされ、獰猛な顔つきの犬もひどくおとなしい。
地面が土なのにトイレを急かす犬もいない。
きっと水分を制限されているのかも。
よく観察していると、
犬は飼い主の手から小さなお菓子?のようなご褒美をもらっている。
そのタイミングが阿吽の呼吸だ。
あのお菓子が犬をおとなしくさせているのだろうか。
髪を撫でられながら、通りすがりの私の目をじっと見る犬もいた。
私が犬好きなのを知って、顔を擦り寄せてくる大型犬もいた。
百匹以上がいるのに、やかましく吠えている犬がいない。
それだけ厳しくしつけられているのだろう。
何だか公園の犬は気楽で良いなあと思ってしまった。