昨日は遠出をして一年ぶりに会う知人宅へ出かけてきた。
わが家から35キロ、国道と田舎道を一時間近く走ってお昼前に家に着く。
お昼の時間によそのお宅を訪れるには躊躇したが、
前に会った時も昼食を共にしたのだった。
相当の仲良しなら別だけれど、普通ならお昼を避けるのが日本の付き合いだ。
でも、彼らは「一緒にお昼を食べましょう」と言ってくれる。
駐車場に着くと、すぐに夫氏の大きな車の後部座席にお邪魔して、
バイパス沿いの店まで連れて行ってもらった。
そこは、お酒を飲む私にはあまり縁のないファミリーレストランだった。
ファミレスはお客で賑わっていて、とりわけ熟年女性が目立った。
ランチタイムメニューはお得らしく肉料理が充実していた。
またサラダバーでは何種類ものドリンクが選べるようになっていた。
見たことも聞いたことのないお茶もある。
お酒を嗜まない彼らは、よくこんな感じの店を利用するらしい。
私に好きなものを選ぶようにメニューを差し出して、
てきぱきとデザートまで注文してくれた。
私は久しぶりにパエリアを食べた。
嫌みのない家庭的な味だった。
またしてもご馳走になった私。
食事を終えてから彼らの用で一時間ほどディーラーに付き合い、
私はその間、テレビ中継を見て過ごした。
たまたま観たい番組だったため食い入るように見てしまった。
離れてボックス席に座る彼らも雑誌などを読んでいた。
振る舞いが自然すぎて、店の人は私を家族と思ったかもしれない。
用が終わると再び友人宅に戻り、
改装して間もないしゃれたリビングで、おやつと日本茶を淹れてもらった。
それから、しばらく旅の話に始まって、歴史や文化についてまで歓談した。
5時近いのにリビングの窓から黄金の夕日が沈んでいく。
自分の家と違うから広がる視界が新鮮だ。
この二人とは大した交流もないというのに、
不思議なほどリラックスして自分の意見が述べられる。
見解の相違や言葉の約束事、
或いは、歴史を見るスタンスの違いをはっきりさせようと、
議論は白熱するばかりで時の経つのを忘れてしまった。
何しろ仲の良いご夫婦なのが一緒にいて気持ち良い。
すっかり日も落ちたので玄関を後にする。
「またね!」と言い合う私たち、年も違い出自も違っても、
心にバリヤーがないことで繋がっていると強く感じた。
大切な時間だった。