先日のこと、お隣の娘さんが自転車に乗ろうとしていた。
彼女は近くのスーパーでバイトをしている学生だ。
「バイトに行くの?」と声をかけたら、
お母さんの職場にお財布を取りに行くという。
どうやらお母さんの車に大事なバッグを置き忘れたというのだ。
それがないと今日の用ができないらしい。
自転車でお母さんの職場まで行くというので、
私は彼女を送っていくことにした。
その日は何の予定もなかったし、走る距離はたかだか10キロほどだろう。
何と言っても風が立っていられないほど強すぎる。
自転車で行くなんてとんでもない。
彼女が近くのお店でバイトしているのを知って、
買い物をした時は自然と彼女を探していた私。
素直な良い子だ、お母さんもお父さんもとても良い人で、
挨拶すると満面の笑みを返してくれる。
お母さんの工場に着くと、何度も礼を言われた。
別にどうってことないと答える私。
娘さんを近くの駅に送っていく。
彼女もとても喜んでいた。
昨日、彼女のご両親がチョコレートを持ってきてくれた。
送ってくれた御礼だと言い、とても感謝していると頭を下げた。
高級そうなチョコレートだ、考えに考え抜いた御礼なのかも。
その彼女、春から就職して家からいなくなるという。
彼女をもうスーパーで会えないと思うととても淋しい。