私が応援していたロシア人ユーチューバーのこと。
毎日のように楽しい動画をアップしていた。
それが、ロシアがウクライナに攻め入ってから更新が止まっていた。
故国が理不尽な人殺しをしていることに、
ひどく胸を痛めているからに決まっている。
日本人は海外の、それも白人を好む傾向があるのか、
外人ユーチューバーにはヨーロッパの人が多い。
特に美人の女性の再生回数は高く、相当の人が動画で生計を立てている。
私が応援していた女性は頭が良くて、
動画もうまく、また会話の端々から心の優しさが滲み出ていた。
彼女は今の状態をどう思っているのだろうかと配信を待っていた。
すると、昨夜、やっとのこと彼女の画面がぱっと私の画面に現れた。
真剣に見ていたら、彼女は加害側である祖国に対し、
ただただ戦争が終わることを祈っていると言った。
とはいえ、祖国に残る家族のことを思うと、
独裁者を名指しにもできない。
言葉に気を使っているのが見て取れる。
複雑な思いで心がズタズタになっているようで、
その暗い表情がとても可哀そうだった。
彼女は今までのように楽しい動画を配信するわけにはいかないけれど、
日本のファンの方の温かい応援に甘え、
以前とは違うけれど少しずつ動画を配信するという。
かといってロシア情勢を配信し再生回数を増やすことはしないと断言した。
広告の種類も考えるらしい。
彼女は配信によって生活しているので、やめるわけにはいかないだろう。
けれど、ウクライナの人々が動画どころではない現実も、
身に染みるほど分かっている。
こんな引き裂かれた心を国民に強いる政治の何と悲しいことか。