冬山へ行くため電車の旅をした。
今日は夕方に宿に着けばよいので、初めて東北本線に乗ることにした。
今は新幹線が当たり前となって在来線のダイヤはとても不便で、
目的の駅まで何度乗り変えたことか。
数えると私鉄の駅にある我が家から実に6回。
その度に20分は待ち時間がある。
それでも、在来線の旅には格別な味わいがある。
車で見た景色と新幹線で見た景色とは、何だか違って見える。
乗り込む人々もいろんな人たちがいる。
私のように新幹線を利用せず、
在来線だけで遠くまで行く親子連れもいたし、
何個かの駅で降りていく学生らしい人もいる。
ボックス席に座って白い雪をかぶった山々や、
人々の様子を眺めていると、
点の移動が確かな太い線でつながるようだ。
旅はスピードがかかる分だけ、
何かしらずっしりと心に刻まれるような気がする。
昔の人は歩いて行ったのだと思うと、
選択肢のない時代の到着の喜びは、
今の何倍もあったに違いない。