人は一日に水分を一定量取らなければならないというけれど、
私は水があまり好きではない。
何かしら味がついていないと飲む気がしないのだ。
これまで夏の間の飲み物は、
たいていが柚子のしぼり汁を少し加えた自家製の水だった。
お茶でも良いのだけれど、いちいち淹れたり冷やしたり面倒なので、
そういうことになった。
ところが、今年の夏は取り寄せていた瓶詰がすっかりなくなり、
注文するのも忘れてしまったので、
何か代わりになるものはと色々試してみた。
あまり凝り固まってもいけないし、
どんなものでも飲めるようになることは良いことだと思ったからだ。
だからと言って市販の飲み物は糖分が多く口に合わない。
薄めて飲んでもすっきりしない。
そのうち何種かの飲み物が冷蔵庫に置きっぱなしになった。
すると、それらはいつの間にか発酵し、炭酸に変わっていた。
おそるおそる口にしてみると、
炭酸独特のピリリとした舌触りがする。
蓋を開けるとシュワシュワと白い泡が飛び出す。
まるで錬金術の化学実験のようだ。
もともと炭酸が好きな私は、
出先では炭酸の入った飲み物を選んでいたから、
この発見はとても嬉しかった。
それから果物のジュースを発酵させ、それを冷やして味わった。
中身が少なくなるとジュースを足す。
まるでヨーグルトのように毎日秘伝?の炭酸が出来上がる。
人生は新しい発見に満ちている。
たかが炭酸で幸せな気分になった。