高層湿原の高山植物たち、カンカン照りの暑さにめげず健気に咲いていた。
いつもなら涼しいはずの高原は今年はまるで熱帯だ。
避暑地とは程遠い温度である。
湿原に咲く花はピンクのフウロに瑞々しい濃い紫のアヤメ、赤紫のヤナギラン、
涼し気な純白のカラマツソウに泡のようなバイケイソウなど。
それら以外に名前を忘れた花も多かった。
今の時期は何より黄色のニッコウキスゲが素晴らしい。
コロナのニュースをしばし忘れて、
湿原の周囲に設けられた木道を歩きながらそれらの花々を鑑賞した。
多くの観光客が日傘を差して歩いていた。
彼らも花に会うために遠くからやって来たのだろう。
空は突然陰ったりして安定していなかったが、
湿原を一周している間はどうにか持ってくれた。
ベンチを見つけお昼も済ませた。
さて、今夜もテントに戻って食事の支度をしなければならない。
大型タープのない私たちは天気が心配だ。
雷の音を聞き、ハラハラしながら調理をする。
にわかファミリーキャンパーの私たちは、
昨夜はワインオープナーも忘れ、
お隣さんたちの好意に助けられて宴が開けたのだった。
今夜、昨夜のように雷雨が来たら、
濡れてしまった薪に火がつかないだろう。
だとしたら、どうやら念のために持ってきた山用のガスも足りなそうだ。
管理棟で薪を買うべきか?
リフトに乗りはしゃいでいる家族たちを見ながらひどく迷うのだった。