小さい子を見てくれと頼まれ、山にやって来た。
コロナウイルスのために家に閉じこもりがちなので、
外でたくさん遊ばせて欲しいと。
今は世界中の子が日常活動を制限され、
不便を強いられている。
ショッピングモールには行く気がしないので、
野外飯を披露できる里山にした。
そこなら鬱陶(うっとお)しいマスクも必要ない。
静かな山が近くにあって良かった。
誰もいない登山口広場に着くと、
そこでボール遊びをさせた。
私は彼らを見守りながら、
車の後部で食事の準備をした。
持ってきたのは、あり合わせのおうどんと餅、
ネギや緑色野菜、それにウインナーなど。
袋入りの適当なだしを入れ、それらをごった煮にする。
見た目も悪いごった煮だ。
子供たちは私が椀に装(よそ)ったごった煮うどんを
「美味しい、美味しい」と言いながら頬ばり、
次々と何杯もお替りをした。
熱々なのに冷ましもせずに食べる。
初めて連れてきた友達の子は、
「屋台のうどん屋さんだあ!」と何度も言う。
確かに屋台だなあと私も思った。
モールのフードコートより印象に残っただろう。
御飯を済ませてから山へ登った。
山といっても子供の足で1時間足らずの低山だ。
小学生2人にリーダー、おやつ係と役を与えると、
「休憩!」や「出発!」などと得意げに指図する。
片言を話す幼子も2人の真似をして何やら指図している。
その幼気(いたいけ)な姿を見ていると、
一刻も早く普通の生活が戻りますようにと、
祈らざるを得なかった。