久しぶりに新宿駅に降り立った。
なぜか私は方向感覚がなくなってしまったみたいで、
何度も同じ道を歩いてしまい、
誰も見ていないのに我ながら恥ずかしいほどだった。
ガラガラと引っ張って歩く旅行カバンが邪魔だったけれど、
コインロッカーに預けようにも空はなく、預けたとしても、
果たして同じ場所に行きつけるかどうか不安だった。
田舎に慣れてしまった身にとっては、
それほど新宿駅は大きく、人々でごった返しているのだ。
やっと南口を見つけ、外へ出て西口まで歩いた。
外に出ると景色に見覚えがあるので方向が定まる。
長い通路を歩くと約束の店がある。
几帳面な友人は時間に少し前にテーブルに着き、
私はギリギリで間に合った。
このレストランは私にはとても高級な感じで、
窓からは新宿の夜景が広がり、
まるでセレブ?になった錯覚を起こすような雰囲気がある。
半年ぶりの再会に生ビールで乾杯し、
世情のことからお互いの日常のことまで話題は尽きなかった。
友人とは趣味のクラブで10年以上の付き合いがある。
何でも議論し合える良き友だ。
その内、飲み物はワインに進み、メインディッシュとなった。
ラストオーダーまでには満腹となり食べ残す始末。
本当はせっかくの電車旅だったから呑み鉄を狙っていたのだけれど、
今回もそんなチャンスは一度も訪れなかった。
呑み鉄はこのレストランの勘定と比べたら、
それこそ百分の一程度の散財だけれど、
その頻度の少なさからすると、値千金の贅沢なのかもしれない。
おかしな論理だけれど。