東海道線金谷駅で「機関車トーマス」で有名な大井川鉄道に乗ろうとしたけれど、
何も調べずに来たせいか、次の電車が2時間待ちということだった。
乗車体験は帰りにしよう。
いつも車に乗っているからたまの電車は楽しい。
知らない町の景色を車窓から眺めていると、
それがたいした遠くではなくても、心は旅気分でいっぱいになる。
とりわけ初めて乗る鉄道となると尚更だし、
こうして降り立って町歩きをすると得した気分にもなる。
金谷駅の前の道を右に下って行くと、
島田から続く旧東海道があった。
この辺りは橋のない大井川の川渡りを生業として栄えたらしい。
江戸の昔は賑わっていたのだろうに、
ところどころに本陣跡などがあるけれど、
通りには歩く人の姿が全くみられない。
道路沿いに商店らしき建物が並んでいるのに、
ほとんどの店が休みなのか閉店しているのか分からなかった。
ここの町も他の地方都市と同様に、
シャッター通りになったのかも知れない。
それともみんな車で出かけているのだろうか。
そんなことを考えながら、
キョロキョロと辺りを見物していると、
金谷から一つ目の駅で、昭和の香りに満ちた駅舎は、
去年登録文化財に指定されている。
この駅には子供たちに大人気のトーマス号が発着する。
それを目当てに多くの見物客や乗客が集まる。
この日の蒸気機関車の切符はすべて満席となっていた。
どうやら早くから予約しないと乗れないらしい。
だから、私のように見るだけの客もいる。
白煙を吐くトーマス号を待つ2時間、
駅のしゃれたカフェや斜前にある土産物屋で暇をつぶした。
駅のまわりは人気者トーマスのおかげで生き生きしている。
駅に隣接する駐車場は車でいっぱいだ。
若い家族連れや鉄道ファンらしきカメラマンが多くいて、
金谷から静かな通りを歩いてきた私には別世界だった。
車で来ていたらこの感覚は分からなかったと思うと、
電車で来て良かったとつくづく思った。