ジャガイモを種芋から買って育てた年は、
なぜか土の中で腐ってしまいほとんど収穫がなかった。
むしろ生ごみを埋めておいた地面から、
あちこち出てくる株の方が収量が多かったほどだ。
そのためここ数年は芽が出てしまったジャガイモを、
種芋にして育てている。
春のお彼岸頃に食べられない部分を多少厚く切り落として、
その断面に多めの草木灰を塗った。
それを土の中に芽を上にして丁寧に埋め生育を待った。
5月になって葉が大きく広がったけれど、白い花は咲かなかった。
ジャガイモの花は何の役にも立たないけれど、
普通は咲くのでちょっと心配だった。
先日、そのうちの一本を恐る恐る引っ張り上げると、
ちゃんとした子ジャガイモが育っていた。
あんなに小さなカスみたいな芽から、
立派なジャガイモの株ができるなんて。
一株に握りこぶしほどの大玉が必ず一つついている。
6株ほどしかないけれど、小さな子を合わせると、
新ジャガイモの味を十分堪能できる量だ。
何て強い生命力なのだろう。
思えばアンデスでスペイン人によってジャガイモが発見され、
栽培が世界中に広がり、
日本でもジャカタライモとなって普及し、
たびたびの飢饉を掬ったのもこの生命力が所以だ。
さて、どんな料理にしようか。