朝の片づけを終えて椅子に腰かけたら、突然縫物がしたくなった。
それもチクチクと針を刺す手縫いである。
たいして器用でもないから、作るのは雑巾や布巾などとの直線ものばかり。
ミシンを使うのは大きな布の場合や強度を必要とするバッグなどで、
雑巾の類は必ず手縫いにしている。
時間はかかるけれど、ミシンと違い手触りが柔らかく、
何よりも温かいのだ。
今日は動画を見ながら食器用の布巾を縫った。
生地は以前貰った生成りの上等な綿で、ふわふわと肌触りが柔らかい。
そのまま使っても良いのだけれど、二枚に折って淵を縫い、
更に丸や四角の意味のない図形を刺し子?ふうにあしらえた。
こうすると、何も模様がないよりも見た目も良いし、長持ちもする。
昔の人は古い布を刺し子などの緻密な作業で蘇らせ、
ものを大事に使った。
西洋のキルティングも然りである。
まさにサスティナブル(持続可能)な暮らしそのものだ。
針に糸を通し、チクチクと布に刺していくと、
不思議なほど心が落ち着いてくる。
いきなりコマーシャルの流れるネット動画も消してしまい、
少しずつ糸模様を増やしていく。
こうして縫っているといつまでも縫い続けるような気がする。
さて、もうここでやめよう。
これはただの布巾ではないか。
私にはこれ以上の絵心も根気はないようだ。
刺し子の技術はこんなことから始まったのだろう。
いつの世も独創的で器用な人がいるものだと感心する。