友達が入院したのでお見舞いに行って来た。
そこは、この辺りでは一番大きな病院だ。
そこが新しく建て変わってから、
どんなふうになったのか気になっていたが、
訪れる機会がなかった。
広い駐車場にはなぜかお決まりの有料ゲートもなくて、
自由に入れるようになっている。
いくつかある駐車場の入り口には近未来的な門のようなものがあり、
もしかしたら、それが出入りする車を逐一記録しているのかもしれない。
その方が事務的な煩雑さがなくなり、かえって安上がりなのか。
正面玄関が分からないまま巨大な院内に入ると、
吹き抜けの空間はまるでホテルのロビーのようだった。
行く先々にイタリアデザインっぽいしゃれた形の机と椅子が配置されている。
カフェもレストランもコンビニもある。
ガラス張りの向こうの中庭には緑の木々が高く聳え、
パティオのような雰囲気に包まれていて、
点滴を付けた人が歩いていなければ、
とてもここが病院には思えない。
ただ行き交う人々の表情は病院独特の雰囲気がある。
友人が迎えに来てくれたので、一緒に病棟へ行った。
まずは面会窓口で私の名前や住所や電話番号などの個人情報を書かされ、
そして、患者名や病室番号を書いて、認証カードを貰う。
そのカードを壁に付けられた丸いワッペンのようなものにかざすと、
病棟の自動ドアがすっと開いた。
友人の方は手にタグを付けているので手をかざせばドアが開く。
友人のフロアに行くまで2回そういう検問?ドアがあった。
患者もこの病棟以外の別の科には入れないらしい。
院内の散歩はエレベーターで上下する縦の移動となる。
息を呑むほど素晴らしかった。
以前の野戦病院?めいた古い建物と比べたら、
ここはSF映画でも撮れそうだ。
それにしても医療界の経済の凄さに愕然とする。
沈む行く夕日を眺めながら、
しばらく友達と歓談した後、病室の方に移動した。
すべての部屋がどうやら個室のようだった。
帰り際、除き窓のある病室で若い男性がベッドでスマフォをいじっていた。
ふと、ここが高ステージの病棟であることを思い出し、
施設の未来的な明るさと比べると、
若者の部屋は時間が止まってしまったように思える。
彼の目にキラキラと輝く家々の夜景はどう映るのだろうか。
そんなことを思いながら病室の前に立つ友人に手を振った。