数日来、凍っているはずのバナナがなぜか軟らかかった。
ヨーグルトに凍ったバナナをスライスして入れるのが日課になっているから、
その違いは良く分かる。
凍っていれば金槌の代わりになるほど固まるのに変だ。
2、3日は冷蔵庫のせいだとは思わず、
自分が扉をよく閉めなかったからだと思い込んでいた。
ところが、製氷室も水のままだったし、
明らかにおかしい。
そういえば、最近何となく間欠的にある冷蔵庫の「ブーン」という音がせず、
妙に部屋が静かだった。
10年以上も使っていたので壊れたのかも知れない。
さいわい他の食品は庫内が満タンだったせいか、
解けてはおらず助かった。
かといって、このままではすぐに融け出して、
全て使い物にならないだろう。
いかに冷蔵庫に頼っていたかが身に染みた。
そこで、食糧庫代わりにしていた予備の中型冷蔵庫をキッチンに運び、
スイッチを入れるべく横に並べた。
通路が狭くなったけれど、どうにか動ける。
ところが、この日は用事が出来て、
夜まで帰って来れないことになった。
冷蔵庫の入れ替えをしている暇はなかったから、
停電で苦しんだ地域の人たちと比べたら大した損害ではないではないかと、
気を取り直し、そのままにして出かけた。
夜になって自宅に戻り、冷蔵庫を開けると、
何と全部カチンカチンに凍っているではないか。
冷蔵室のお豆腐も納豆もモヤシも牛乳もである。
もちろんビールも。
家を出る時、念のため冷却温度を「強」にしていったのだけれど、
今度はそれが直ってしまい、全て凍ったのだった。
どんな機械でも道具でも突然こうして不具合が生じる。
その時、初めて人はその有難さに気付かされる。
何日も電気の来なかった人たちの苦労はいかばかりだっただろうか。
せっかく重たい冷蔵庫を運んだけれど、
しばらく使い慣れた今までのを使おう。
さて、それにしても冷蔵庫の整理を急がなくては。