老女の家にはテレビがない。
大分前に壊れたから捨てたという。
少しボケが来ているせいもあり、
何度か来た視聴料の請求書は捨てていた。
それが、先日5万円ほどの請求書がまた送られてきたという。
請求書は7年分の料金だった。
相談されたのでかの公共放送の連絡先を調べてあげた。
本人はテレビを見ていないから払う必要はないと信じ切っている。
でも、請求書はずっとついて回るのが現代だ。
私は相談窓口までたどり着くのにスマフォを操作し、
大分苦労してオペレーターと接点を取ることが出来た。
相手に住所と名前を聞かれると、
老女の契約内容や支払い履歴か一瞬で分かった。
そして、オペレーターは機械的な口調で契約は続いてるの1点張り。
テレビを捨てた時の廃棄証明書を出せとか、
ワンセグを見ていたはずだとか。
廃棄照明を出したとしても今月からの適用になるとかで、取りつく島もなかった。
老女は若くして未亡人となり少ない年金でやっと生きているのだ。
そんなことお構いなしの公共放送の対応に、
私はあなたは人間の顔をしているのかと言ってやった。
20分ほどの問答の末、私は電話を切った。
公共放送をぶっ壊せという過激な政党があるが、
今回の老女の相談で、
ああいった政党が出来たのも無理もないと思われてならなかった。
老女とNHKとの契約は解消手続きをしない限り、
死ぬまで続くのだ。
いや、死んだ後も相続者がそれをしなければならない。
何という不条理な世界だろう。
電話一本で何事も済んだ昔のままの彼女には到底理解不能な世界だ。
来年からは未納者には倍の料金を請求するという話もある
。
初めて垣間見た公共放送の仕組みに戦慄する。