友達に誘われてアマチュアのギター演奏会に行ってきた。
コロナの行動規制のせいで3年ぶりの発表会らしい。
今年は当時より桁違いの感染者数なのに、
不思議なことに規制は行われていない。
小さいがホールは立派で、
階段状になった客席はほとんど年配客で埋まっていた。
席を一つ空けて座るというこれまでの指示もない。
緞帳が上がると10人ほどの演奏者がギターを抱え舞台に座っていた。
団員は中高年以上のひとばかりでだった。
受付でもらった目次にはクラシックの小品から演歌まである。
私は演歌や流行歌などがあまり好きではない。
ラジオをつけていても耐えられなくてパッと消してしまうほどだ。
どちらかというとクラシックが好きで、家で聴くときもそればかり。
音楽にはジャンルが多く、世界中のものを含めると多岐にわたる。
好みは様々で、大体が共通することはないようだ。
洋楽が好きな人は日本の流行歌などは聴かないし、
友達にいい曲だからと聴くように強く勧められても、
それが嫌いなジャンルだとしたら耳を塞いでしまう。
嫌いな曲はただの騒音に感じられるばかりだ。
日本は明治維新の頃、西洋化を急ぎ、特に音楽教育に力を入れた。
それは子供たちや大人たちに、
全体主義的な効果を作りやすいからだということだったらしい。
キリスト教の讃美歌なども教義よりも雰囲気の力で魅了させる。
今日、楽団が奏でたのは様々な分野を網羅したそつないプログラムで、
私としてはあまり心に響くものはなかった。
音楽のめざすところが違いすぎたのだった。
とはいえ、満員に近い聴衆はとても感動したようで、
しきりにアンコールの拍手をしていた。
誘ってくれた友達も隣の席で手をたたき続け、
ずいぶんと満足しているように見えた。
音楽の趣味がピッタリなんて、なかなかないものだけれど、
数からいえば私は完全にマイナーなのだと思うのはこんな時である。
だから、帰りはベートーヴェンの第九を大き目にかけながら、
家路についた。