今日は帰宅途中に友人に教わったとある工房を訪ねた。
1週間ほど前に預けておいたある部品を調整してもらったのだ。
その小さな工房はとても小さくて外目から見ると、
失礼だけれどまるで廃屋のような感じだった。
玄関は昭和30年代の引き戸になっていて土間は半間もなく、
いきなり石油ストーブのたかれた部屋になる。
職人の作業場そのもので所狭しと工具や材料が置かれ、
足の踏み場もないほど狭かった。
預けていた品物を受け取ると、
昔ながらの紙の納品書と領収書を渡された。
納品書は見覚えのあるkokuyoの複写用のもので、
領収書はやはりなじみ深い緑色のkokuyo製の細長いものだった。
最近は何でもかんでもレシートやペーパーレスになったから、
青い複写インクの手書きの文字が新鮮だった。
ゴム印の社名とそれに押された朱色の角印も懐かしい。
何より工賃が今までの工房と違い、とても良心的だった。
時候の挨拶一つない寡黙な人だったけれど、
何か偽りの少ない人のように見えた。
「有り難うございます。また、よろしくお願いします」が、
立ち去るときの言葉だった。
次の時もこの人に頼もうと思う。