
去年の夏あたりから山遊びがひどく遠のいてしまった。
その理由は、クマの被害が全国放送で連日のように報道され、
わが家近くの里山辺りにも頻繁に目撃されているからである。
この辺のクマは山の中どころか駅の近くなどに出没し、
母子で川沿いを移動している始末だ。
泳いでいる姿も目撃されていて、
隣接する町々にも姿を現している。
そのため今までのように、山でお酒を飲み、食事を作り、
テントで一晩過ごすなど恐ろしくてできなくなった。
3000mのアルプスの稜線でもヒトの弁当を食べに来たりしている。
最近のクマは人間をヒトという獲物だと思っているのかもしれない。
クマはもともとヒトと同様に雑食で、
中でも木の実や草が8割ほどで肉系は少なかった。
それがどうやらヒグマもツキノワグマもいきなり肉食が主になって、
魚が採れないとなると、野生のシカを食べ、
ついには、人里のニワトリ小屋を襲い、
室内に入って食べ物を物色し、ヒトさえ標的にする。
そんなわけで、毎週のように行く100mほどの稜線の道も、
めっきり歩いている人がいなくなった。
これまでは、まるで銀座通りのように人々が次々と現れ、
挨拶も嫌になるほどだったのに、今は閑散として別世界になった。
駐車場も空いていて、ほとんど会う人がない時も多い。
そんな中、私の場合、ストックにクマ鈴をつけ、空ペットをぶら下げ、
歩くたびにうるさい音を立てるという原始的?なクマ対策をしている。
以前出合った女性は過剰なほどのクマ対策をしていて、
「クマ鈴、クマ除けブザー、クマ除けスプレー、玩具のピストル」まで持っていた。
それらを首にぶら下げるわけにはいかないので、
いざクマに出合った場合は間に合わないと思うけれど、
とにかく心配だということだった。
もちろん私も心配だけれど、山道を歩かないわけにはいかないのだ。
自然は心を豊かにし、岩の山道は五感を蘇らせ、
歩を進めるごとに放電尽くされた体中が充電されていくのが分かる。
何より顔の表情が変わっていく。
ヒトもクマも野生の動物なのだ。
つくづくそう思う。
お願いだから以前のように、
ヒトを嫌ってヒトを見たら逃げてほしい。
(写真 百円ショップの玩具 火薬は別売り)