
年に数回会う気心の知れた山仲間と新年会をやることになった。
私が山の家に来ているので誘ってくれたのである。
カップなど必要品を用意してくれると言うから有難かった。
会うのは秋の私の町でのキャンプ以来だった。
夜にこの冬初めての雪が降ったので、
運が良ければ雪景色を楽しめるかもしれない。
今日は車ではなく電車とバスで現地に行くので、
雪の方が嬉しい。
宴の場所は友人が考え抜いたという林道の奥で、
バスを降りて小一時間ほど歩いたところにあるらしい。
残念ながら昨夜の雪はほんのひと時のもので、
車窓から見える山の景色はわずか北側の斜面が白くなっている程度だった。
世界で一番登山者の多い山としてギネスブックにも載っている高尾山。
年間300万人が本当だとしたら日に8000人以上だ。
私は一度行ったが人込みの中を歩く山で、
山というより観光地そのもので懲り懲りした経験がある。
その麓の駅であるJR高尾駅が集合場所だった。
ここには京王線も通っていて交通の便も良いため、
東京の人たちのいちばん行きやすい山になっているのだろう。
まだ正月のせいかいつもの喧騒はなく、
少しだけ登山スタイルの人が行きかう程度だ。
改札口で待っていたふたりと新年の挨拶をしてバスに乗り込んだ。
目的の林道入口でバスを降りると、
道はうっすらと白い雪で化粧している。
どうやら谷沿いの道なので雪が溶けなかったようだ。
このあたりは込み合う高尾山を嫌う人が利用するらしく、
滅多に人も通らない。
登山口のベンチーで新年会の準備をして、
まずはお屠蘇を酌み交わす。
温度計はマイナス2度で、ここは谷なので一切太陽が上らない。
こんな寒い新年会は初めてで、仲間のワイルドさに感嘆する私。
白い息を吐きながら冷たいビールを飲み、
少しずつ持ち寄ったおつまみを味わう。
友人は足先と腰にホッカイロを貼っていて、私ももらって腰に貼った。
ビールの後はワインを温めて喉に流し込むように飲むが、
カップは途端に冷たくなる。
彼らとは時勢の問題はもちろん、音楽や芸術に関しても話が弾む。
とても感性が似ていて話のし甲斐がある。
近くに住んでいたらどんなに楽しいかと思う。
面白いことに寒いとアルコールの効き目がなくなるのか、
殆ど酔わなかった。
3時間経っても温度計はマイナス2度のままだった。
それにしても3時間もこんなところで宴会をやるなんて、
私たちは大分おかしな仲間である。