
今年の夏は恐ろしいほど長く、
我慢の限界を超えた暑さが続いた。
そのせいでわが家の小さな菜園の様子が変わったように思われた。
といっても、カボチャとミニトマトは豊作で、
中でもカボチャの繁殖力には驚かされた。
カボチャは庭中に蔓延(はびこ)って他の野菜を覆い、
厄介者的存在だった。
ところが、秋になって庭の総ざらいをすると、
大した広さもないのにあちこちの蔓に大小のカボチャが、
およそ30個ほど成っていた。
大きなカボチャは生け垣にぶら下がり、
その他のはあちこちに隠れるように実っていた。
ミニトマトはシチューに使うので煮詰めて瓶詰にしたり冷凍するけれど、
カボチャはおかずの足しに毎日のように料理して、
何人かの友達に差し上げまだ多く残っている。
庭に埋めた生ごみから自然に芽を出したカボチャだけれど、
味をつけずそのまま蒸して食べてもとても甘くて美味しい。
これこそ自然にできた土からの贈り物だ。
最近はそのカボチャでプディングを作っている。
卵と生クリームを混ぜてガスの天火で焼くのである。
切って冷やしてラム酒を振りかけ、
お隣さんや友人たちに上げたりして喜ばれている。

「わが家で自然にできたカボチャです」と、
誇らしげに説明すると、
皆さんたいてい目を丸くして驚かれる。
生ごみが循環し、こうして洒落たデザートができるのだ。
カボチャは生命力が強く、土手で這っても実るのだ。
今は南米の甘いそれと交配したものなので、
不味いカボチャはもうどこにもない。
戦争時代に国が掲げたという、
「カボチャを食べませう」という標語を思い出した。
あの時代の人は不味いカボチャだったから、
カボチャが嫌いになったらしい。