
北海道に住む友人から「ヒグマが近くに出た」というラインが来た。
とても恐いという。
今年は昔から狂暴と知っているヒグマはともかく、
本州のツキノワグマの方も被害が連日報道された。
今年は熱波による森の実の不作で特別なのか、
それとも「熊は人を怖がらず人を襲う」というふうに、
パラダイムが変わってしまったのか。
恐らく後者だと思う。
年ごとに世界の国々が異常な高温になっているように、
いつの間にか自然界の動物も変わったのだろう。
以前は山に行っても熊の姿を見ることは稀だった。
私はこれまで熊をこの目で見たのは4回ほどだ。
何れもあちらの方が人間に気づくと足早に逃げていた。
だから、ばったり母子熊に出くわすことさえなければ、
山歩きは恐くなかった。
ところが、今や家の中でも襲われる事態となっている。
今年の春はまだカタクリの花が残っている時分だったが、
林道をひとり歩いて下山している時、
右手の法面になった柔らかい土の上に、
親子熊らしき新し気な足跡があった。
たまたまカメラの電池が切れて撮影できず残念だったけれど、
頭の中にその光景ははっきりと残っていて忘れられない。
それはあまりにも典型的な熊の足跡だった。
ほんの数分前に彼らはここを歩いていたのだ。
そのために山に行く時はとても心配になってしまう。
なるべく一人で行かず友達と大声でしゃべりながら歩く。
それでも熊は人を恐れないらしい。
熊はどうやらかなり頭が良くて、
経験から様々なことを学び、
彼ら同士で情報交換もしているようだ。
人間たちは自分たちより弱く、
森の木の実など食べにくいものと比べたら、
甘い果物の方が美味しいし採るのに楽だ。
そういったことをもう知ってしまったから、
町に下りて餌探しするのだろう。
人間が引き起こした環境の変化が熊の生態を変えてしまい、
とどのつまり人間が困るようになった。
恐がられるようになった熊も気の毒だけれど、
以前のように戻らないものかと切に思う。
(写真は林道で見た親子熊の足跡の記憶)