
このところ毎日南側の掃き出し窓にカマキリがいる。
ガラス窓ではなく網戸に貼りついたようにして部屋に向かっているので、
まるで私に挨拶をしているように見える。
だから、私はカマキリのお腹側から見ることになり、
おかげで細々としたところまで観察できた。
そのカマキリはとても大きくて色は茶色っぽい。
足が六本あって前足はちようど草刈りガマの刃のようで、
どうやらそれで生きた獲物を捕らえるらしい。

昆虫など大嫌いだった私がこんなふうに観察するのは、
年を取って小さなものに目が行くようになったからに他ならない。
おかげでふにゃふにゃとして気味の悪かったカマキリも、
見るだけならこうして平気になった。
その一匹の大きなカマキリはシャッターを開ける朝にはまだいないのに、
いつの間にか必ず網戸にくっついている。
これが何日も続くので何だか愛おしくなってしまい、
「拝み太郎ちゃん、お早う」と、声をかけるようになった。
これは長崎でのカマキリの呼び名だ。
カマキリは大きいので太郎ではなく花子かもしれない。
それがわざわざ草むらではなく網戸に止まっているなんて。
よくよく観察していると網戸の周りは緑のカーテンが下がり、
わが家の掃き出し窓全体に日陰を作っている。
今年は暑すぎるので拝み太郎もいちばん涼しい場所として、
わが家の網戸に貼りつき、
もっと涼しく思える家の中に入りたがっているのかもしれない。
きっとそれで「お願い」と手を合わせてるのだ。
三羽の鶏もああして網戸の外から私を求めていたっけと、
つい思いだして感傷的になる。
だからなのか、とにかく気になる。