
「シベリア抑留を知っていますか?」という小さな企画展に行って来た。
スターリンの秘密命令で過酷な日々を送ることになった。
それは、「日本に帰す」という嘘の言葉で兵士や住民をも騙し、
60万人ほどがシベリアやモンゴル各地の収容所に送られたという。
そこで様々な強制労働をさせられ、
約1割が悲惨な状況で亡くなっている。
ソ連は日ソ不可侵条約を破り、満州や北朝鮮に侵攻してきたのである。
その無謀振りは筆舌に尽くしがたいほどで、
抑留兵士は長い人で11年間も強制労働をさせられた。
戦争はとっくに終わっているのにである。
今年は戦後80年という節目で戦争に関する報道も多いけれど、
当事者や家族以外はそんな歴史的事実を知らない人ばかりだ。
私ももちろん聞いたことはあるが、こんなふうに詳しくは知らなかった。
この企画展はその囚われの強制労働の日々が、
3人の人によってイラスト風な絵に描かれ展示されていた。
狭いギャラリーの壁にびっしりと小さな絵が並べられ、
細かく文章が添えられているので、
写真などより詳しくその様子が分かる。
輸送された時の様子、収容所の外観スケッチ、
酷寒の中での伐採作業、食事の様子、仲間の埋葬、
燃料の掘り出し等々、一枚一枚説明を読んでいく。
絵画の展覧会とは違い誰もが心を痛めながら、
次の絵と向かっていく。
私もそうだった。
抑留された当事者は殆どこの世から去り、
会場におられた生き残りの人は百歳を越えていた。
その人が語る短編映画も上映されていたけれど、
時間の関係で見られなかった。
シベリア抑留の関係者はスターリンが1945年に発令した8月23日を、
国を挙げての追悼の日にして式典を行うように求めている。
先の大戦は軍属だけではなく、
沖縄での地上戦や都市への空襲により、
一般市民も多くの犠牲者を出している。
市民が戦争をけしかけたわけではなく、
施政者たちが戦争を招き、人々の運命をこんなふうに変えてしまった。

戦争は人と人との戦いではなく、国と国との戦いである。
愚かな支配者に寄って起こされる悲劇だ。
今の世も同じ道を辿っている。
それをあらためて思い知った作品展示会だった。