カレーを作る時、使うのは何種類かの香辛料だ。
クミンやコリアンダー、ターメリック、グラムマサラ等々、
それらの大袋をアジアのお店で安価に買っている。
ジャムやニンニク、ショウガなどの隠し味的なものと合わせると、
スパイスは10種以上は入れていると思う。
それでどうにか本場の味に近づくことができる。
家の近くにあるスパイスのお店はミャンマーの人が経営している。
毎年1、2度は訪れるのでいつの間にか顔なじみになって、
会話を交わすようになった。
彼は国にいる子供たちを日本に呼びたいのだが、
なかなか彼らにビザがおりないという。
ただでさえ彼は軍事政権の支配する祖国に帰ることができないでいる。
この国はずっと政権が不安定で軍がクーデターを起こした。
今でも悲しい内戦が続いていて、
若者がの命が奪われているようだ。
店主がミャンマー国内で差別されているロヒンギャかどうかは聞いていない。
少数民族の彼らはイスラム教を信仰していて、
仏教を信仰する人々から賤民扱いされている。
ミャンマー国内でも複雑すぎるのだ。
彼はひげを生やしているのでそうなのかもしれない。
日本にもその支部があるらしいが、
きっと彼らはしばらくは店主のように帰国できないし、
家族も呼ぶことができないだろう。
店に行くと、彼は家族の写真を見せてくれ、
独特の強面の浅黒い顔が優しく緩む。
今は国を越えてビデオ通話ができるのでいつも話はしているらしい。
買い物を終えてつくづく思ったのは、政治の大切さということ。
彼の国の周辺のタイヤシンガポールなどは安心して旅行ができる。
もちろん日本もそうだ。
それは国として当たり前のことなのだけれど、
いつ何時、そうした秩序が崩れる日が来るかもしれない。
国の行く末は自分たちが担っているのだから、
常に気を付けなければと思う。