料理をする時、私が主に使うのは菜切り包丁である。
菜切り包丁は長方形で先は尖っていないけれど、
ジャガイモの芽を取って皮を剥いたり、厚い白菜を切ったり、
繊細なキャベツの千切りなど大抵のことができる。
先の尖った万能包丁は元が厚くなっているので、
私の場合、細い千切りがうまく揃わないし、
妙に角度を変えなければ大きなものなど切り辛い。
同じ幅の平たい菜切り包丁なら簡単にできる。
ところが、毎日何度も使っていた菜切り包丁の根本が折れてしまった。
これはかなり前に合羽橋まで出向いて買ったもので、
刻印はされてないが、とても切れ味の良いものだった。
10年ほど前に刃を差し込んである木の柄が腐り、
新しくつけ直してもらったのだが、
今回は刃そのものが錆びてボロボロになってしまった。
もう新しく買いたくはないので、
友人や趣味の仲間たちに使っていない菜切り包丁はないかと尋ねてみた。
すると、皆が菜切り包丁を使っていないことが分かった。
そもそも台所にないのである。
ひとりがこれはどうかと中華包丁を持ってきてくれた。
残念ながらこれは大きくて重すぎて使えない。
そこで、わが家にある包丁の種類を調べてみたら、
何と10本ほどはあって、自分でも驚いてしまった。
菜切り包丁以外に万能包丁、肉切り包丁、出刃包丁、麺切り包丁、
パン切りナイフなど10本近くあったのだ。
これらの出番は月に数回に過ぎない。
そんな中でも一日に夥しいほど使う菜切り包丁は優等生だった。
だから、木の柄がなくても刃の背をつかんで使い続けることにした。
それでも、他の包丁より切り易いから。